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管理権者が管理する公務員宿舎である集合住宅の各室玄関ドアの新聞受けに政治的な意見を記載したビラを投かんする目的で金網フェンス等で囲まれるなどしたその敷地部分等に管理権者の意思に反して立ち入ったことをもって刑法130条前段の罪に問うことが憲法21条1項に違反しな

事件番号 平成17(あ)2652 事件名 住居侵入被告事件 
裁判年月日 平成20年04月11日 法廷名 最高裁判所第2小法廷 
裁判種別 判決 結果 棄却 
原審裁判所名 東京高等裁判所 原審事件番号 平成17(う)351 原審裁判年月日 平成17年12月09日 
判示事項
1 管理権者が管理する公務員宿舎である集合住宅の1階出入口から各室玄関前までの部分及び金網フェンス等で囲まれるなどしたその敷地部分が刑法130条にいう「人の看守する邸宅」に当たるとされた事例 
2 管理権者が管理する公務員宿舎である集合住宅の各室玄関ドアの新聞受けに政治的な意見を記載したビラを投かんする目的で金網フェンス等で囲まれるなどしたその敷地部分等に管理権者の意思に反して立ち入ったことをもって刑法130条前段の罪に問うことが憲法21条1項に違反しないとされた事例 
主文
本件各上告を棄却する。
理由
第1 被告人3名の弁護人栗山れい子ほかの上告趣意のうち,本件被告人らの行為をもって刑法130条前段の罪に問うことは憲法21条1項に違反するとの主張について
1 原判決の認定及び記録によれば,本件の事実関係は,次のとおりである。
(1) 立川宿舎の状況等
ア 全般
東京都立川市所在の防衛庁(当時。以下同じ。)立川宿舎(以下「立川宿舎」という。)の敷地は,南北に細長い長方形(南北方向の辺の長さは約400m,東西方向の辺の長さは約50mである。以下「南側敷地」という。)の北端に東西に細長い長方形(南北方向の辺の長さは約25m,東西方向の辺の長さは約130mである。以下「北側敷地」という。)が西側に伸びる形で付いた逆L字形をしている。南側敷地の東側,北側敷地の東側と北側が,一般道路に面し,南側敷地の西側,北側敷地の西側と南側の西半分が,自衛隊東立川駐屯地と接している。南側敷地の南半分には,南から北へ順に1号棟ないし8号棟の集合住宅が建っている。いずれも東西に細長い直方体であり,鉄筋4階建てで,各階に6室ずつある(1号棟ないし8号棟の敷地の南北方向の辺の長さは約200mである。)。南側敷地の北半分は,南北に細長い長方形の空き地(以下「北側空き地」という。)になっている。北側敷地には,東西に並んで東から西へ順に9号棟,10号棟の前同様の集合住宅が建っている。ただし,9号棟及び10号棟は,いずれも5階建てで,10号棟は各階に8室ずつある。
イ 立川宿舎の敷地の囲にょう状況
(ア) 1号棟ないし8号棟の敷地は,南側は高さ約1.5mの鉄製フェンス,一般道路に面する東側は,高さ約1.5mないし約1.6mの鉄製フェンスないし金網フェンス,北側空き地と接する北側は木製杭,自衛隊東立川駐屯地と接する西側は,門扉のある通用門1か所のほかは,高さ約1.85mないし約2.1mの鉄製フェンスで囲まれている。東側のフェンスは,各号棟の北側通路に通じる出入口となる部分がそれぞれ1号棟に係るものから順に幅約7.1m,約5.9m,約8m,約6.1m,約6.3m,約5m,約9m,約6.1mにわたって開口しており,各開口部に門扉はない。北側の木製杭には,おおむね等間隔に4本の鉄線が張られている。
(イ) 9号棟及び10号棟の敷地も,高さ約1.5mないし約1.7mの金網フェンスないし鉄製フェンスで囲まれ,一般道路に面する東側,北側のフェンスは,各号棟の出入口となる部分が幅数mないし約8.2mにわたって開口するなどしており,各開口部に門扉はない。
ウ 立川宿舎の敷地の案内板等の状況
(ア) 1号棟ないし8号棟の敷地の東側フェンスの1号棟の北側通路に通じる出入口となる開口部付近に,「防衛庁立川宿舎案内図」と題する案内板がある。同フェンスの各号棟の北側通路に通じる出入口となる各開口部の向かってすぐ左のフェンス部分に,いずれも,A3判大の横長の白色の用紙に,縦書きで,
「宿舎地域内の禁止事項
一 関係者以外,地域内に立ち入ること
一 ビラ貼り・配り等の宣伝活動
一 露店(土地の占有)等による物品販売及び押し売り
一 車両の駐車
一 その他,人に迷惑をかける行為
管理者」
と印刷されてビニールカバーが掛けられた禁止事項表示板が設置されている。
(イ) 9号棟及び10号棟の敷地を囲むフェンスの9号棟の出入口となる前記イ(イ)の開口部付近に,前同様の「防衛庁立川宿舎案内図」と題する案内板があり,同フェンスの各号棟の出入口となる前記イ(イ)の各開口部の向かってすぐ左ないし右のフェンス部分に,前同様の禁止事項表示板が設置されている。
エ 各号棟の状況
(ア) 1号棟ないし9号棟には,それぞれ東側階段,中央階段,西側階段があり,各号棟の1階には,その北側に各階段ごとに各階段に通じる門扉のない3か所の出入口があり,10号棟の1階には,その北側に,東側階段,東側中階段,西側中階段,西側階段に通じる門扉のない4か所の出入口がある。これらの出入口には,それぞれ集合郵便受けが設置されている。これらの階段に面して各階2室ずつの玄関があり,各室玄関ドアには新聞受けが設置されている。
(イ) 1号棟ないし10号棟の1階出入口にある掲示板又は集合郵便受けの上部の壁等には,A4判大の横長の白色又は黄色の用紙に,縦書きで,前記禁止事項表示板と同じ文言が印刷された禁止事項表示物が,一部はビニールカバーが掛けられて,掲示されていた。
オ 立川宿舎の管理状況
立川宿舎は,防衛庁の職員及びその家族が居住するための国が設置する宿舎である。本件当時,1号棟ないし8号棟は,ほぼ全室に居住者が入居していた。国家公務員宿舎法,同法施行令等により,敷地及び5号棟ないし8号棟は陸上自衛隊東立川駐屯地業務隊長の管理,1号棟ないし4号棟は航空自衛隊第1補給処立川支処長の管理となっており,9号棟,10号棟は防衛庁契約本部ないし同庁技術研究本部第3研究所の管理下にある。
(2) テント村の活動状況等
「立川自衛隊監視テント村」(以下「テント村」という。)は,自衛隊の米軍立川基地移駐に際して結成された団体で,反戦平和を課題とし,示威運動,駅頭情報宣伝活動,駐屯地に対する申入れ活動等を行っている。被告人3名は,いずれもテント村の構成員として活動している者である。
(3) テント村の活動とこれに対する立川宿舎の管理者の対応
アテント村は,平成15年夏に関連法律が成立して自衛隊のイラク派遣が迫ってきたころから,これに反対する活動として,駅頭情報宣伝活動やデモを積極的に行うようになった。
イ テント村は,自衛官及びその家族に向けて,平成15年10月中ごろ,同年11月終わりころ,同年12月13日と月1回の割合で,それぞれ,「自衛官のみなさん・家族のみなさんへイラクへの派兵が,何をもたらすというのか?」,「自衛官のみなさん・家族のみなさんへ殺すのも・殺されるのもイヤだと言おう」,「イラクへ行くな,自衛隊! 戦争では何も解決しない」との表題の下に,自衛隊のイラク派遣に反対し,かつ,自衛官に対しイラク派兵に反対するよう促し,自衛官のためのホットラインの存在を知らせる内容のA4判大のビラを,立川宿舎の各号棟の1階出入口の集合郵便受け又は各室玄関ドアの新聞受けに投かんした。
ウ 前記イの平成15年12月13日のビラの投かん後,陸上自衛隊東立川駐屯地業務隊長の職務を補佐する同業務隊厚生科長,航空自衛隊第1補給処立川支処長の職務を補佐する同支処業務課長ら立川宿舎の管理業務に携わっていた者は,連絡を取り合った上,管理者の意を受けて,それぞれの管理部分ごとに分担するなどして,同月18日,前記(1)ウ(ア),(イ)のとおり,禁止事項表示板を立川宿舎の敷地の一般道路に面するフェンスの各号棟の出入口となる各開口部のすぐわきのフェンス部分に設置し,同月19日から同月24日にかけて,前記(1)エ(イ)のとおり,禁止事項表示物を各号棟の1階出入口に掲示した。
エ そのころ,前記イの平成15年12月13日のビラの投かんについて,立川宿舎の管理業務に携わっていた者により管理者の意を受けて警察に住居侵入の被害届が提出された。
(4) 本件ビラ投かんの状況等
ア 被告人3名は,共謀の上,テント村の活動の一環として,「自衛官・ご家族の皆さんへ自衛隊のイラク派兵反対! いっしょに考え,反対の声をあげよう!」との表題の下,前同様の内容のA4判大のビラを,立川宿舎の各号棟の各室玄関ドアの新聞受けに投かんする目的で,平成16年1月17日午前11時30分過ぎころから午後0時ころまでの間,立川宿舎の敷地内に3名とも立ち入った上,分担して,3号棟東側階段,同棟中央階段,5号棟東側階段,6号棟東側階段及び7号棟西側階段に通じる各1階出入口からそれぞれ4階の各室玄関前まで立ち入り,各室玄関ドアの新聞受けに上記ビラを投かんするなどした。
イ 平成16年1月23日,前記アのビラの投かんについて,立川宿舎の管理業務に携わっていた者により管理者の意を受けて警察に住居侵入の被害届が提出された。なお,同年2月3日に実施された実況見分時には,1号棟及び9号棟の各出入口並びに3号棟の中央出入口,4号棟の東側出入口,5号棟の西側出入口及び8号棟の西側出入口には,前記(1)エ(イ)の禁止事項表示物がなかった。
ウ 被告人A及び同Bは,共謀の上,テント村の活動の一環として,「ブッシュも小泉も戦場には行かない」との表題の下,前同様の内容のA4判大のビラを,立川宿舎の各号棟の各室玄関ドアの新聞受けに投かんする目的で,平成16年2月22日午前11時30分過ぎころから午後0時過ぎころまでの間,立川宿舎の敷地内に2名とも立ち入った上,分担して,3号棟西側階段,5号棟西側階段及び7号棟西側階段に通じる各1階出入口からそれぞれ4階の各室玄関前まで立ち入り,各室玄関ドアの新聞受けに上記ビラを投かんするなどした。
エ 平成16年3月22日,前記ウのビラの投かんについて,立川宿舎の管理業務に携わっていた者により管理者の意を受けて警察に住居侵入の被害届が提出された。
2(1) 前記1(4)ア,ウのとおり,被告人らは,立川宿舎の敷地内に入り込み,各号棟の1階出入口から各室玄関前まで立ち入ったものであり,当該立入りについて刑法130条前段の罪に問われているので,まず,被告人らが立ち入った場所が同条にいう「人の住居」,「人の看守する邸宅」,「人の看守する建造物」のいずれかに当たるのかを検討する。
(2) 前記1の立川宿舎の各号棟の構造及び出入口の状況,その敷地と周辺土地や道路との囲障等の状況,その管理の状況等によれば,各号棟の1階出入口から各室玄関前までの部分は,居住用の建物である宿舎の各号棟の建物の一部であり,宿舎管理者の管理に係るものであるから,居住用の建物の一部として刑法130条にいう「人の看守する邸宅」に当たるものと解され,また,各号棟の敷地のうち建築物が建築されている部分を除く部分は,各号棟の建物に接してその周辺に存在し,かつ,管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより,これが各号棟の建物の付属地として建物利用のために供されるものであることを明示していると認められるから,上記部分は,「人の看守する邸宅」の囲にょう地として,邸宅侵入罪の客体になるものというべきである(最高裁昭和49年(あ)第736号同51年3月4日第一小法廷判決・刑集30巻2号79頁参照)。
(3) そして,刑法130条前段にいう「侵入し」とは,他人の看守する邸宅等に管理権者の意思に反して立ち入ることをいうものであるところ(最高裁昭和55年(あ)第906号同58年4月8日第二小法廷判決・刑集37巻3号215頁参照),立川宿舎の管理権者は,前記1(1)オのとおりであり,被告人らの立入りがこれらの管理権者の意思に反するものであったことは,前記1の事実関係から明らかである。
(4) そうすると,被告人らの本件立川宿舎の敷地及び各号棟の1階出入口から各室玄関前までへの立入りは,刑法130条前段に該当するものと解すべきである。なお,本件被告人らの立入りの態様,程度は前記1の事実関係のとおりであって,管理者からその都度被害届が提出されていることなどに照らすと,所論のように法益侵害の程度が極めて軽微なものであったなどということもできない。
3(1) 所論は,本件被告人らの行為をもって刑法130条前段の罪に問うことは憲法21条1項に違反するという。
(2) 確かに,表現の自由は,民主主義社会において特に重要な権利として尊重されなければならず,被告人らによるその政治的意見を記載したビラの配布は,表現の自由の行使ということができる。
しかしながら,憲法21条1項も,表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく,公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を是認するものであって,たとえ思想を外部に発表するための手段であっても,その手段が他人の権利を不当に害するようなものは許されないというべきである(最高裁昭和59年(あ)第206号同年12月18日第三小法廷判決・刑集38巻12号3026頁参照)。本件では,表現そのものを処罰することの憲法適合性が問われているのではなく,表現の手段すなわちビラの配布のために「人の看守する邸宅」に管理権者の承諾なく立ち入ったことを処罰することの憲法適合性が問われているところ,本件で被告人らが立ち入った場所は,防衛庁の職員及びその家族が私的生活を営む場所である集合住宅の共用部分及びその敷地であり,自衛隊・防衛庁当局がそのような場所として管理していたもので,一般に人が自由に出入りすることのできる場所ではない。たとえ表現の自由の行使のためとはいっても,このような場所に管理権者の意思に反して立ち入ることは,管理権者の管理権を侵害するのみならず,そこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害するものといわざるを得ない。したがって,本件被告人らの行為をもって刑法130条前段の罪に問うことは,憲法21条1項に違反するものではない。このように解することができることは,当裁判所の判例(昭和41年(あ)第536号同43年12月18日大法廷判決・刑集22巻13号1549頁,昭和42年(あ)第1626号同45年6月17日大法廷判決・刑集24巻6号280頁)の趣旨に徴して明らかである。
所論は理由がない。
第2 その余の主張について
憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
よって,同法408条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長 裁判官 今井功 裁判官 津野修 裁判官 中川了滋)
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